なぜ蛍光灯は規制される?水俣条約と2027年問題の背景
最終更新: 2026-09-22
- 蛍光灯の製造・輸出入禁止は、「水銀に関する水俣条約」という国際条約に基づく措置です
- 条約は水銀による健康・環境への影響を防ぐことを目的とし、2013年に熊本県水俣市で採択されました
- 蛍光灯は当初一部の種類のみが対象でしたが、2022〜2023年の締約国会議で残りの種類も2027年末までに廃止することが決まりました
水俣条約とは何か
「水銀に関する水俣条約」は、水銀の採掘から流通・使用・廃棄に至るまでのライフサイクル全体にわたって、水銀の人為的な排出から人の健康と環境を保護することを目的とした国際条約です。水銀を含む製品の製造・貿易や、水銀を使う工程そのものを段階的に規制していく内容になっています。
条約は2013年10月に熊本県で開催された外交会議で採択され、2017年8月16日に発効しました。日本を含む多くの国が締約国として参加しています。
なぜ「水俣」の名がついているのか
条約の名称は、採択された外交会議が熊本県水俣市で開催されたことに由来します。環境省の公式資料でも、水俣病の経験を踏まえた水銀管理の取組との関連が説明されており、水銀による健康被害を二度と繰り返さないという趣旨が条約の背景にあります。
なぜ蛍光灯が対象になったのか
蛍光灯は発光の仕組み上、内部に微量の水銀を利用しています。水俣条約では「水銀添加製品」として、電池・体温計・血圧計などと並んで蛍光ランプも規制対象に指定されました。
蛍光灯が規制対象になった背景には、水銀を使わない代替技術であるLED照明が既に実用化・普及していたことがあります。代替手段が確立している製品から段階的に水銀使用を廃止していく、という条約の考え方に沿った措置です。
規制が決まるまでの経緯
国連環境計画(UNEP)が2009年の管理理事会で国際的な水銀規制の条約制定に向けた政府間交渉の開始に合意し、2010年から交渉が始まりました。2013年1月に条文案が合意され、同年10月の外交会議で条約が採択されています。
条約発効後の2017年時点では、主に水銀含有量が5mgを超える蛍光ランプについて2020年末までの廃止が決まりました。その後、2022年3月の第4回締約国会議、2023年11月の第5回締約国会議を経て、残りの種類の蛍光ランプも2027年末までに製造・輸出入を廃止することが正式に決定されています。
品番ごとの具体的な期限は蛍光灯の種類(直管形・環形・電球形・コンパクト形、発光方式)によって3段階に分かれています。詳しい期限は蛍光灯2027年問題とは?で解説しています。
日本国内での対応
条約の内容は、日本国内では経済産業省・環境省が中心となって法制度に反映されています。規制の対象は新品の製造・輸出入のみで、既に販売・使用されている蛍光灯の使用継続や、店頭在庫の購入は規制の対象外です。
出典
- 環境省「水俣条約について」2026-09-22
- 日本照明工業会「全ての一般照明用蛍光ランプについて製造・輸出入の禁止が決定」2026-09-22
- 経済産業省「水銀に関する水俣条約に関するFAQ」2026-09-22